THE LAST SONG 〜命の行方〜
終戦70年特別舞台公演「THE LAST SONG」プレビュー公演

かつて、戦地に散った数えきれない命の殆どは、家に帰ることなく、最期の地で土へと還った。

そして現代、私たちは、精霊たちの生への憧れで敷き詰められた大地に立ち、民族の違いを、宗教の違いを、言葉の違いを、価値観の違いを、国の違いを、ヒステリックに嫌い、再び負の歴史を繰り返しつつある。

憎しみはさらなる憎しみを生み、報復は新たな報復を生む。
どうしたら、人は優しくなれるのか―

1945年8月15日、終戦。終戦からおよそ二週間後、沖縄地上戦は終結を迎える。帝国陸軍大尉、久松恭介は、沖縄地上戦で最後の部下、パク・ヨンハを失うことになる。奇襲による銃弾を受けてしまったパクを介抱する久松の脳裏に焼き付いて離れない記憶、「血が、止まらない」。

パクの死を前に、投降という選択肢を捨て、ピストル自殺を試みる久松を待っていた結末は、無情にも、幸運にも、巣鴨プリズンへの収容だった。そして収容から三年、東條英機の処刑を知り、「自分もようやく死ねる」という願いとは裏腹に久松を待っていた展開は、「釈放」であった。行き場のない大いなるロスタイムを与えられた彼は、ここである決断をする。それは、「仲間たちの骨を拾いに行く」こと―

一方、戦後の混乱のなか、ナイトクラブ「リベルタ」の営業を再開し、亡き夫である吉野仁との間に授かった息子の仁誠との文字通り新たな人生のスタートをきる良子。しかし、輝かしい人生への道のりは早速スタートラインで頓挫する。戦勝国民と言われていた在日朝鮮人のキムに、未来への光を奪われてしまうのだ。食糧や物資の不足、劣悪な生活環境、女手ひとつで仁誠を育てることさえ困難を極める時代、失明を余儀なくされた良子は、まだ乳飲み子の仁誠を残し、最悪の決断をする―

時代は過ぎ、1965年、高度成長期の日本、ここあそこで学生運動が繰り広げられていた。その中で、惜しみなく在日朝鮮人への差別を繰り返していたのが、良子の息子である仁誠だった。

仁誠の在日朝鮮人に対する差別を叱る良子、母親を失明に至らせた犯人が、当時略奪を繰り返していた在日朝鮮人であるという憶測から、決して差別発言や学生運動を辞めようとしない仁誠。それを悲しげにいつも見守っていたのが、なんとかつて良子の光を奪ったキムであった。そこへ訪れる不吉な予兆、在日二世のソン、リ、チャンの来訪である。彼らを言葉と暴力で差別する仁誠、屈辱にまみれながら、復讐を誓う三人―

日韓国交正常化が実現した忘れざる時代に、久松、良子、仁誠、そしてキムの運命は不思議なかたちで絡み合う。終戦70年を迎えた現代日本へ、カマカジラボ渾身の書き下ろしフィクションコラージュ。

CAST

岩田知幸、高橋広司、仮屋ルリ子、遠海まり子、北見翔、田谷野亮、大仁田泰丈、山田将伍、阿邊龍之介、杉渕優志、梶原涼晴

脚本

梶原涼晴

スタッフ

照明:小松崎愛子
音響:左右田利雄
美術:佐藤朋有子
フライヤーデザイン:張本瑞江
韓国語翻訳協力:金英里