都内の総合病院で医師として勤務していた純一は、過去に震災で親友を失って以来無力感と自責の念に支配され続けていた。そしてある日、生きる意味を見失い遂に自殺未遂を図る。一命はとりとめたものの、純一はその後病院を依願退職、何かに導かれるように故郷へ。医療ソーシャルワーカーとしてもう一度生への原動力を探し始めることに。しかし純一が選んだその職場、東京と比べると時間は穏やかに流れているものの、実はとんでもなくクセの強い病院だった──。新たな環境で出会った人々との触れ合い、そして不思議な既視感を通じて、純一は失っていた生への情熱を取り戻していく──。東日本大震災という忘れざる喪失の上に生きる意味を力強く描く、生かされたすべての命へのメッセージ。

陽の当たらない橋の下、一所懸命咲く花あり。 影の切れ目は動いても、光はずっと向こう側。 日影に生まれたヒメツルソバ。 短い茎は背伸びもできず、小さな花弁は光を知らぬ。 でもよく見てみると、その短い茎は遠くの光を一身に受け、 その花弁は自ら光り輝いている。

母は弟に命を託し、父は僕の幸せを願い続けた。 不滅の壁のマリアに導かれ、僕は夕陽に包まれる。

コロナ禍のもとあらゆる局面で人間が人間であることの本質を問いかけられている現代、総ての人々に向けて、「人生の選択」についてのメッセージをお届けします。

過酷を極めた天候と飢えによって死んでいった多くの仲間たち、そして臼杵で知った住民たちの優しさ…… 『しかし、ここは本当に私が愛した臼杵なのか……』。

東京から相馬を訪れた若者たちとの関わりを通じて奇跡に遭遇、今まで止まってしまっていた10年の時が希望とともに再び動き出す。