大学受験を目前にして、本当の自分を知りたくて、俳優の道へ進むことを決断し、上京。演技の専門学校に入校し、そこで梶原涼晴と出会い、より演技に没頭したいとアクターズクリニックにも入校。その後、一度は芝居から離れたものの、再び俳優の道へ。当劇団員としては 2019 年から活動を開始し、現在は、 俳優として活動しながら、アクターズクリニック大分校・臼杵サテライトで講師を務める。

「すべての芸術にはテーマが存在し、伝えたいメッセージがある。そこに触れて、繋がったとき、”想像力”が溢れだし、心が満たされる。そして、この体験は演じている役者だけではなく、観客も同じく体験することができる」

これは僕の個人的な理念ですが、理解できるまで時間がかかりました。今思えば、昔の自分は芸術を道具にただ必死に演技をしていたようです。その芸術で、その作品で、その役で何を伝えたいのか、そんなこともよく考えずに舞台に立っていたのです。役者はこれではいけないと思うのです。理由は”体験させる”ためには、役者自身が体験していないといけないから。

役者自身が脚本から与えられた役の状況を信じて生きた時、はじめてその場に”体験”が生まれる。つまり、舞台上 の役者の体験が観客の一人一人にも共有され、本当に体験したような感覚になる、ということです。これを”感動体験”と呼んでいます。

僕はこの感動体験を通して、世界を変えられると信じています。現代の情報社会は便利がいいが、いつまでも情報が付きまとい、情報過多の状態が続いています。これにより我々の日常は”想像力”を必要としなくても生きられるようになってきています。“想像のない世界”を想像したとき、僕はゾっとしました。だから、我々には芸術が必要だと、僕は声を大にして言いたい。

芸術は、人の想像力を呼び起し、人の心を豊かにさせ、それが行動に変わり、変化をもたらせる。その積み重ねによって、少しずつ、世界を変えられると。