都内の総合病院で医師として勤務していた純一は、親友を失って以来無力感と自責の念に支配され続けていた。そしてある日、遂に生きる意味を見失い自殺未遂を図る。一命はとりとめたものの、純一はその後病院を依願退職、東京を離れ、ソーシャルワーカーとしてもう一度生への原動力を探し始めることに。しかし純一が選んだ職場、東京と比べると時間は穏やかに流れているものの、実はとんでもなくクセの強い病院だった──。新たな環境で出会った人々との触れ合い、そして不思議な既視感を通じて、純一は失っていた生への情熱を取り戻していく──。忘れざる喪失の上に生きる意味を力強く描く、今を生きるすべての命へのメッセージ。

陽の当たらない橋の下、一所懸命咲く花あり。 影の切れ目は動いても、光はずっと向こう側。 日影に生まれたヒメツルソバ。 短い茎は背伸びもできず、小さな花弁は光を知らぬ。 でもよく見てみると、その短い茎は遠くの光を一身に受け、 その花弁は自ら光り輝いている。

母は弟に命を託し、父は僕の幸せを願い続けた。 不滅の壁のマリアに導かれ、僕は夕陽に包まれる。

実験当日、検体として使用予定であったラットがいない……　このことが発端となり、トモの心の旅が始まる。 不確かな情報がまるでゴミ溜めのように埋め尽くされる現代に「確かなもの」を探し求める、心の人体実験。グループシアターとして10回目の節目となる本公演、フルメンバーでお届けします。

大学受験を前に利き手の複雑骨折という大けがで入院を余儀なくされた純希が入った病室の先客は、余命わずかの患者たち。──今、モラトリアムに陥ってしまったすべての「心」を優しく包む、再生と希望の物語。

私たち人間がこの混沌の情報社会においてなお人間として存在し続けていくための選択とは。人間の存在という永遠の疑問が人間自らによって作り上げられた現実に立ち向かう、グループシアター初の一幕劇。

経済的にも精神的にも歩むべき道を見失ってしまった翔太は、ふと思い立ち10年以上連絡をとってこなかった父、義一が大分県臼杵市の港町で営む海鮮居酒屋「魚屋按針」を訪れる。

飲む、打つ、買うの放蕩大名、大友宗麟。意のままに生きた彼の千里眼は乱世の豊後に何を見たか？死を前にした宗麟が伴天連への告悔を通じて自身の人生と再び向き合う、忘却と思考の回想録。

生きる意味を見出せずに自室に引きこもってしまった女子中学生の岬を突如襲う激しい揺れと津波。――未来を担う若い世代に命の尊さと愛することの大切さをメッセージする、GROUP THEATREオリジナル代表作。